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民泊に関する意見書に反対しました。

 10月16日の本会議に民泊に関する意見書が自民党、公明党、民進党の議員から提出され、賛成多数で採決されました。
 日本共産党は反対の態度を取りました。
以下、意見書と日本共産党の反対討論です。


住宅宿泊事業法に関する意見書

いわゆる民泊事業について、国は本年6月9日、届出制によって民泊サービスを行うことのできる住宅宿泊事業法を成立させた。

一方、大田区では平成28年1月29日、国家戦略特別区域法に基づく外国人滞在施設経営事業(以下「特区民泊」という。)を開始した。開始からまだ間もない状況であるが、現在のところ順調に滑り出している。その要因は、特区民泊が届出制ではなく許可制となっており、事業実施可能区域を限定したうえ、区による事前の現地確認、事業者に対し、近隣住民へ特区民泊を実施することの周知や苦情等窓口の設置とその周知を求めたことなど、一定の条件を付したことにより、利用者のみならず事業者や近隣住民にとっても、安全かつ安心な民泊事業を行うことができる環境を整えたためである。

これに対して今回の住宅宿泊事業法による民泊事業は届出制であるため、安易な参入による質の低下などの懸念がある。参入しやすいことを利点ととる自治体もあると思われるが、大田区のように特区民泊を実施している自治体にとっては、特区民泊と住宅宿泊事業法による民泊、二つの制度が並立することになり、区民にとっても利用者にとっても分かりにくく、健全な民泊の振興という住宅宿泊事業法の趣旨を損なうことにもなりかねない。

よって、独自の条例を定めて特区民泊を実施している大田区の議会としては、住宅宿泊事業法による民泊制度は受け入れがたいものであり、住宅宿泊事業法による民泊と特区民泊のいずれかを自治体が選択できるようにすること、最低でも住宅宿泊事業法において、特区民泊と同内容の規制を行うことができるよう政省令に明記することを求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

年月日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
国土交通大臣

大田区議会議長名



日本共産党の反対討論(金子悦子議員)

区議団を代表してただいま上程されました、住宅宿泊事業法に関する意見書について、反対する討論を行います。

大田区は2016年1月に、国家戦略特区法に基づいて外国人滞在施設経営事業を開始しました。大田区の特区民泊は、許可制であり、一定の条件を付したことにより、利用者のみならず事業者や近隣住民にとっても、安全かつ安心な民泊事業を行う環境を整えたとしていますが、違法民泊を規制する目的で作られたにもかかわらず、違法民泊の調査や規制もできていず、違法民泊は増加しており、住民の不安は解消されていません。まだ不十分です。

 大田区の条例でも不十分なのに、国は2017年6月に、届出制によって民泊サービスを行うという、もっと規制の緩やかな住宅宿泊事業法を成立させました。

届出制であるため、安易な参入による質の低下などの懸念があること、大田区のように特区民泊と、住宅宿泊事業法による民泊、2つの制度が並立することにより、独自の条例を定めて特区民泊を実施している大田区の議会としては、住宅宿泊事業法による民泊制度は受け入れがたいものであるという意見には同意するものですが、住宅宿泊事業法による民泊と特区民泊のいずれかを自治体が選択できるようにすること、最低でも住宅宿泊事業法において特区民泊と同内容の規制を行うことを求めるのは、無理があるのではないでしょうか。

 この法律の国会質疑では、事業が届出で済まされることで、住民の安全、宿泊者の安全も守られない状況であり、宿泊者名簿がきちんと作られるか疑問であること、また宿泊にふさわしい場所と空き家は必ずしも一致していないこと、空き家の多い住宅地に民泊が事業として行われると、地域崩壊につながることが指摘されています。

 旅館業の団体からは、今までの業務の中で行ってきた必ず対面確認をし、パスポートのコピーを取って本人確認をすることがフロントの責任と言われてきたのに、旅館業と民泊事業が併存することには困惑しています。いったん民泊を解禁した諸外国では、今までのホテル・旅館に対する規制が正しかったということで、規制強化に軸足が移ってきているという議論がされています。行政庁が違法民泊の実態をつかめないというのが、一番の問題です。

 住宅宿泊事業法に、特区民泊と同内容の規制を行うことができるよう政省令で明記することを求めるというのは、住宅宿泊事業法を容認することになり、むしろ撤回を求めるべきものです。
よって意見書の提出には反対です。

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