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国家戦略特区による開発から住民の暮らし・営業をまもる大田区区政への転換

以下は6月15日大田区議会第2回定例議会日本共産党の黒沼議員による代表質問の国家戦略特区構想による羽田空港跡地計画に関する質問です。


次にについて伺います。

区は羽田空港跡地第1ゾーン整備事業の事業者選択で5月19日、鹿島(かじま)建設㈱を代表とする応募グループに決定しました。主な構成員は、野村不動産、JR東日本、富士フイルム、国立国際医療研究センター、東京ガス、東工大、東電、トヨタ、JAL、三井住友銀行、三菱地所、京急電鉄、など9社グループと20ほどの協力会社を決定しました。区長は臨時議会で「UR都市機構の起工式と鹿島グループの決定を受けて官民連携による跡地の新産業創造、発信拠点が大田区のみならず日本にとっても重要な場所となるよう、これまで以上に気を引き締めて事業を進めてまいります」とあいさつしました。

このように区長も強調する日本にとっても重要というのは国家戦略特区そのものだからです。国家戦略特区は、法律の目的をみれば明らかです。「産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することが重要であることにかんがみ、国家戦略特別区域に関し、規制改革その他の施策を総合的かつ集中的に推進する」です。すなわち国際競争に勝つために、それに打ち勝つような都市、産業を育てていく、そのためには集中と選択で1つのエリアに限って集中的にやる政策をめざしています。

大田区のプランもそうなっています。第1は、エリアの活性化と日本全体の国際競争力強化に貢献します。第2は、「空港」の可能性を最大限に発揮して、日本全体の発展の起爆剤になります。ここには、すべてお国のためで大田区が出てきません。
そういう発想で組み立てられているものですからいろいろな事業をやっていきますが、それはすべて国の発展に貢献することが第一目的です。それと大田区の発展がかみ合うかというとそうではありません。空港を活用した都市機能の強化、グローバルビジネス環境の整備、おもてなしの国際都市の実現と言いますが具体的には国家戦略都市計画建築物等整備事業という特例法があります。この特例法を使って、区画整理、道路整備、公園整備がURに受注させてやらせています。そして産業交流施設、おもてなしエントランス等は鹿島に受注させてこれからやられます。

国家戦略特区では今話題になっている加計学園疑惑はその悪しき例で、今治市は、学校用地として16.8ha、約36億7500万円の土地を無償で提供したうえで、校舎建築費の補助金として今後8年間で計64億円を支払という、いたれりつくせりの構想です。

大田区も鹿島建設とURに16haの土地と財政規模は明らかにされていませんが、最低でも現在積立てられている羽田空港対策積立基金172億円余が使われることになります。
大田区が提案し鹿島が開発のプロジェクトを持ち込みます。そして内閣総理大臣の承認を得れば都市計画決定がされたものとなります。しかし、大きな施設をつくることで大きな財政負担が待ち受けている不安です。民間のお金と知恵、ノウハウでつくるわけですが大田区が作成した「跡地基本計画等検討業務」の検討結果にはベンチャー企業支援に高い家賃は取れないので採算が合わないとリスクを指摘しています。また、文化産業所謂おもてなしエントランスにしても「事業の判断が難しい、これまた採算が難しい、多目的ホールに至っては事業性の判断が難しい」です。

<質問>この様な計画を、官邸からのトップダウンですすめるわけですから、もはや自治体というものがなくなり、国のレベルで都市計画が進んでいく恐ろしい仕組みだと思います。こんな計画に多額の税金投入は許されません。1974年(昭和49年)大田区報No.49号の一面を大々的に飾った「羽田沖の埋め立て計画―10年後は区民の緑地に」の記事には当時の区長が早期に都市計画公園にと要請し、緑地を求めました。今からでも区民の緑地に切り替えるべきです。区長の答弁を求めます。お答えください。

 また、中小企業への支援についてです。
特区では、区内中小企業の技術が向上する、そうすると海外から取引が拡大する、それでものづくりのまちとして地域ブランドが向上する、向上すればビジネス目的来訪者が増加し、口コミ等で知る人ぞ知る大田区の魅力をPRしてくれる。
そうするとおもてなしの意識も向上し国際的なまちづくりが始まり、住んでよし、訪れてよしの街として大田区が定着すると描いています。
 本当にそうなのかということです。しかし、今月6日付の都政新報に乗った「空港跡地に先端産業」という記事は次の様な内容です。「トヨタ自動車などと連携し、自動車の自動走行向け、「先端モビリティサイト」を整備、医工連携を促す先端医療研究センターや水素ステーションも設置。文化発信拠点、所謂おもてなし拠点では、新鮮な食材販売するとともに、食材などの検疫の代行サービスを実施。温泉文化の足湯体験できる施設。で総事業費約540億円を見込むとしています。当初、文化産業機能も多目的ホールも「大田区が想定する取り組み内容では事業性が難しい」と想定していた通りの内容ではありませんか。
 中小企業が育つということは沢山の中小企業がいて、連携し合ってそこからいろいろ素晴らしい産業を生み出していくことが大田区の強みのはずです。鹿島の計画は先端産業事業に特化し、イノベーション創出とソフト、技術支援業務しかありません。戦略特区は大田区の強みを逆に奪っていくのではないでしょうか。
 地方創生もまた、うたい文句の大田区の中小業者のためなどではなく、逆に大田区の中小企業を犠牲にするものです。羽田空港対策積立基金172億円余は今年度産業経済部予算約38億円と比較すれば4.5年分の予算にもなります。

 日本共産党大田区議団は区が約1億円もかけてせっかく調査した商工業調査を基にこうした打開の方向を示して、予算の倍化を求めて質問していますが、4月に「中小企業を守り、地域経済の活性化を」と区内企業と商店に呼びかけ「懇談会を開き、政策も発表しました。大田区が今から22年前、1995年に発表した「大田区産業ビジョン」には次の様に記されています。「日本の製造業の基盤として極めて重要な役割を果たしてきた。どのような要求にも応えられる体制を地域レベルで確立してきたことだ。特定の親企業に系列するのでなく大田区の産業集積全体として幅広いニーズに柔軟に対応してきた意味で大田区産業は誰でも利用可能な、あたかも「公共財」のような機能を、これまで担ってきたのである」という立場をしっかり受け継いで日本共産党大田区議団は今後もこの立場で奮闘してまいります。

<質問>大田区は国際戦略特区構想に乗っかるのではなく、頑張っている区内企業を励まし、制度を充実させる本来の自治体の仕事に転換することです。お答えください。

 新空港線は京急蒲田までしか計画がありません。先日、NHKのニュースで長崎新幹線は正式にフリーゲージトレーンの導入は技術的にも、財政的にも見通し無く、断念と報道されました。、空港までの見通しはフリーゲージトレーンの開発の見通し挫折により、京急蒲田で乗り換えしなければならないのであれば、乗降客計算の根拠がくずれ、採算がなりたたない無謀な計画になります。ましてや全国で破たんが相次いでいる第三セクター方式にのめり込むことは大きな財政負担を負いかねないことになりこの面からも無謀な計画です。自治体は地方自治法第1条の2に記されているように「住民の福祉の増進を図る」ことにこそ存在意義があります。

<質問>このような計画に、毎年5億円の積み立て、ここ2年間は10億円ずつ積み立ててきましたが約40億円にもなります。区民に必要な暮らしと営業、福祉と医療、教育予算を削る区政を改めることを求めます。お答えください。


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